合成ダイヤモンド(人工ダイヤモンド,ラボグロウンダイヤモンドとは?天然との違い・価値・環境【入門】
最短で“正しく理解”。要点→違い→価格/環境→選び方→サイズ表→素材比較→見分け方まで一気に。
要点まとめ(30秒)
- 合成ダイヤモンド(Laboratory-grown diamond,ラボグロウンダイヤモンド=実験室で人工的に育成された“本物のダイヤモンド”(化学式C)。見た目/硬度/屈折率は天然と同等。
- 違いは由来・希少性・流通構造(再販性)。新品価格は手頃、再販は弱め。
- 環境メリットは電源・透明性次第。作り手の開示をチェック。
- 合成ダイヤモンド vs 天然ダイヤモンドは肉眼判別は難しい。ただしダイヤモンド vs ガラスストーン/キュービックジルコニア/モアッサナイトは“おおよそ”の見極めコツあり(後述)。
1. 合成ダイヤモンド(Laboratory-grown diamond)とは?(定義)
合成ダイヤモンドは、工場・研究所内で人工的に育成されたダイヤモンド(化学式C)です。 物理・光学特性は天然と同一で、主な育成法は HPHT と CVD の2つです。
- HPHT(高温高圧):地中と同等の高温高圧環境を装置内で再現して結晶化します。 金属触媒を使うため、金属由来の包有物が見られる個体もあります。
- CVD(化学気相成長):真空チャンバー内で炭素を分解・堆積させて層状に成長させます。 成長層の痕跡やグラファイト状包有の傾向が出る個体もあります。
※ どちらの方式でも宝飾品質まで育成可能で、無色〜ファンシーカラーまで対応します。 また、CVD後にHPHT処理で無色化するなど工程を組み合わせる場合もあります。 (ラボと天然の見分けは肉眼では困難で、鑑別機器・レポートの確認が前提です)
2. 天然との違い(“見た目”よりも“由来と市場”)
天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンド(ラボダイヤ)は肉眼での識別は不可。ジュエリーとしての輝き・耐久も同等です。主な違いは下表になります。
項目 | 天然ダイヤ | 合成ダイヤ(ラボで人工的に作られた) |
---|---|---|
由来 | 地球内部で生成 | 施設内で育成 |
希少性 | 産地/大粒ほど希少 | 増産可能(品質は工場差) |
市場価値 | 再販性が強め | 新品は手頃/再販は弱め |
包有物傾向 | ミネラル包有 等 | HPHT: 金属包有 / CVD: グラファイト傾向 等 |
表示 | 天然ダイヤモンド |
ラボラトリー・グロウン・ダイヤモンド |
3. 価格と“価値”の捉え方
- 購入価格:同グレードで天然より手頃。テニス系で強み。
- 再販:弱めが一般的。使い倒す満足を重視するとミスマッチが減る。
- 価値は石だけで決まらない:デザイン/作り/保証/アフターも含めて判断。
4. 環境・エシカル面
- 採掘型:土地改変・用水・労働などの課題。
- ラボ型:採掘レスだが電力消費が大きい。再エネ比率や開示の透明性が鍵。
チェック:電源の実態/CO₂開示と第三者検証/SCS-007等の認証
5. 鑑定・証明書の見方
- 日本国内の主要機関:GIA / 中央宝石研究所(CGL) / IGI 等。
- オンライン照合を確認。
6. よくある誤解
- モアサナイト=合成ダイヤモンド? → 別物(モアサ=SiC、ダイヤ=炭素)。
-
合成ダイヤモンド(ラボダイヤ)は“偽物”? → 物質は天然と同じダイヤモンド。
日本語表示は「合成ダイヤモンド」
英語表示はsynthetic diamondが適切。
laboratory-grown diamond(ラボグロウンダイヤモンド)とはGIA、FTCが認定している合成ダイヤモンドの略称。
7. 初心者の“ハズさない”選び方
- 幅×長さを用途で決める(早見表は次章)。
- カット最優先(輝きはカットで決まる)。
- 色/クラリティは実用帯:G–I / VS–SIで十分“美人見え”。
- 素材は用途と予算で(S925/K10/K14/K18 比較は後述)。
8. サイズ早見表(2.0–4.0mm × 18/20/22inch)
以下は概算目安。セッティングや石数で±10%程度変動します。
幅 | 18 inch(約46cm) | 20 inch(約51cm) | 22 inch(約56cm) |
---|---|---|---|
2.0mm | 約7.2ct | 約8.0ct | 約8.8ct |
2.5mm | 約11.5ct | 約12.8ct | 約14.1ct |
3.0mm | 約16.0ct | 約17.8ct | 約19.6ct |
3.5mm | 約22.0ct | 約24.4ct | 約26.8ct |
4.0mm | 約30.0ct | 約33.3ct | 約36.7ct |
算出根拠(概念):標準ラウンドのct/粒と長さ当たり石数の想定に基づく概算。実測は商品ごとに表記します。
9. 素材比較:S925 / K10 / K14 / K18
素材 | 見た目/色味 | 耐久・メンテ | アレルギー配慮 | 価格帯(相対) | 向いている用途 |
---|---|---|---|---|---|
S925(ロジウム) | 明るい白。ロジウムで高級感 | メッキの維持が必要(再コート可) | ニッケル不使用を選べば◎ | ★(最安) | 価格重視・普段使い |
K10 | やや淡い金色 | K14/K18より硬めで傷に強いが色は薄め | 金アレ配慮しやすい | ★★ | 軽量/コスパ重視 |
K14 | バランスの良い金色 | 硬さと色味のバランスが良い | 一般的に良好 | ★★★ | 日常〜ハードユースの両立 |
K18 | 深みのある金色(YG)/高級感 | メッキ不要。変色しにくい | 最も配慮しやすい | ★★★★(高価) | 長期使用・資材価値重視 |
10. 肉眼での見分けガイド
ラボダイヤ vs 天然ダイヤは肉眼では見分け不可(鑑別機器・レポートが前提)。一方で、ダイヤ vs ガラス/CZ/モアサナイトは下記の“傾向”でおおよそ判断できることがあります(確定ではありません)。
比較対象 | 肉眼の傾向 | 補助のコツ |
---|---|---|
ダイヤ vs モアサナイト | モアサは虹色(ファイア)が強くギラつきやすい。光点がやや“大きく派手”に見えることがある。 | 10倍ルーペでファセットの二重像(ダブリング)を観察。単機能テスターは誤判定あり。 |
ダイヤ vs CZ(キュービックジルコニア) | CZはエッジが柔らかく、曇りやすい印象。輝きの切れ味が鈍いことがある。 | 同サイズでやや重い(比重が高い)点や、使い込むと小傷で白っぽくなりやすい傾向。 |
ダイヤ vs ガラス/スワロフスキー | ガラスは光がにじむ、エッジが丸い。輝きが“ふわっ”としがち。 | 硬度が低く早く擦り傷が出やすい。光源を変えて観察(直射/点光源)。 |
※上記は“傾向”。最終判断は鑑別機関の検査/レポートで行います。
11. お手入れ・保管
- 使用後は柔らかいクロスで拭く(皮脂/化粧品を残さない)。
- 超音波洗浄は多くのダイヤで可(※接着/劣化枠は除外)。
- 単品保管で擦れ防止。
まとめ
- 合成ダイヤモンド(ラボダイヤ)は天然と同じダイヤを手頃に楽しめる現代の技術が詰まった選択肢。
- “再販”より使用満足